川越で「いい奥さん」を演じていた43歳の彼女が見せた、もう一つの顔

その女性と出会ったのは、PCMAX(18禁)マッチング掲示板”の一角でした。

 

表向きは健全な大人の会話を楽しむ場所ですが、少し掘ると、そこには“表では語れない想い”を抱えた人々が集まっていました。

 

彼女の書き込みには、ごく控えめに「自分の居場所について考えている」とだけありました。

 

年齢は43歳。子どもはいないものの既婚で、結婚生活は10年以上続いているとのこと。

 

文面からは、冷静で知的な印象を受けました。

 

ただ、どこか“無風状態の湖”のような、深く静かな諦めのような感情も感じました。

 

こちらから声をかけてみると、すぐに返信がありました。

 

とても礼儀正しく、言葉の端々に教養を感じました。

 

それでも、ときおり打ち込まれる句読点の位置に、妙な“ためらい”がありました。

 

メッセージを何度かやりとりしたあと、「一度、昼間にお茶でもどうですか?」という流れになりました。

 

彼女は「平日の昼なら調整できます」と答えました。

 

会ったのはホテルのラウンジ。

 

黒のブラウスにベージュのパンストにネイビーのスカート。

 

アクセサリーも控えめで、いかにも“良妻然”とした佇まいでした。

 

「こういう場所、緊張しますね」と笑う彼女の姿に、正直最初は“何か特別な関係になる”という感覚はありませんでした。

 

ところが、話を進めていくと、彼女が見せる言葉の選び方、間のとり方に、僕は不思議と惹かれていきました。

 

穏やかだけれど、相手の様子をよく見ている。

 

時折「あなたが決めていいですよ」と言って、こちらの判断に身を預けるような瞬間がありました。

 

そしてその一言が、彼女の本質を少しずつ露わにしていったのです。

 

数回会ったあと、僕は意図的に少し“強めの口調”で接してみました。

 

「今、それは違うと思いますよ」

 

「黙って、こっちを見てください」

 

すると彼女は、何も言わずに従いました。

目を伏せながら、静かに頷く彼女の仕草には、慣れているというよりも、むしろ「それを望んでいた」というような緊張と解放が入り混じっていました。

 

その後、彼女から少しずつ語られるようになった過去には、こんな背景がありました。

 

若いころから、ずっと“いい子”“ちゃんとした人”として振る舞ってきたこと。

 

結婚後も、「良い奥さん」「よくできた嫁」としてふるまうことを期待されてきたこと。

 

そうした“役割”に応え続けているうちに、自分の本音や欲望の表し方がわからなくなっていったということ。

 

「誰かに“ダメだよ”って、厳しく言われてみたかったんです」

 

「ちゃんとしてなくても、叱られても、見捨てられないって感じてみたかった」

 

彼女がそう語ったとき、僕は思わず黙ってしまいました。

 

それは単なる性的な嗜好ではなく、「関係の中で、無条件に受け入れられることへの飢え」だったのです。

その日から、彼女は僕とのやりとりの中で少しずつ変わっていきました。

 

敬語の文体が、やがて“です・ます”から“だ・ね”に変わり、

 

返事にハートマークや、ため息混じりの言葉が混じるようになりました。

 

そして、ある日のやりとりで、彼女がこう言いました。

 

叱られるたびに安心してる私って、ほんと、変ですね」

 

僕はこう返しました。

 

「変じゃありませんよ。安心するのが当然の関係です」

 

そのあと、長い沈黙が続いてから、彼女からひとことだけ「ありがとう」と届きました。

 

それは恋愛とは違うかもしれません。

 

でも、確かに信頼があった関係だったと思います。

 

今も彼女とは定期的に連絡を取り合っています。

 

もう特別な関係は持っていませんが、「誰かに素直に従えること」「指示に従うことで楽になれること」は、誰にとっても必要な“逃げ場”になることがあるのだと、彼女を通じて知ることができました。

 

支配と服従という言葉だけでは語りきれない、もっと繊細な感情の通い合いが、そこにはあったのです。

 

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